読書録2

世界的なコロナウィルスの流行により、人の移動を支える交通系のインフラは大打撃をくらった。中でも航空会社への影響はすさまじく、支出のほとんどが固定費であり、つぶれかけていた。実際に潰れたところもあるし、政府からの全面的支援がないとままならないところも現れた。

 

航空産業には興味はあるが自発的に調べようとはあまりならなかったので、経営に大打撃を食らっているこの時期に少し興味湧いたので、本屋でそれっぽい本を買って読んだ。

 

日本の航空産業

渋武容

中公新書

 

この本では、航空会社の事情というよりは、製造や、産業全体の解説という感じでエアラインの話は少なめ。まずは、有名になったホンダジェットについて。先日ほりえもんの動画をあさっていると、ホンダジェットに乗っている動画をあげていたので、それを見ていたので、結構食い気味に読んだ。日本は戦後7年ほど航空分野の開発ができなかった。1903年ライト兄弟が世界初の有人飛行を成功させてからまだ半世紀しか経ってない時の空白の7年はかなりの痛手といえる。

 

航空産業復活にあたって、日本企業は市場のアナを突いた。みなさんが飛行機といって思いつくような大きい旅客機は主にボーイング社やエアバス社により市場が埋まっていたので、70~90席ほどの小型飛行機の開発に乗り出した。この飛行機はリージョナルジェット機に分類される。今後20年での需要増が見込まれている。小型であるため騒音が小さく、都市空港への発着がしやすい。田舎の小さな空港も利用できる。客室快適性、運行コストが低くよい。もう少し小さいとプライベートジェット機など、日本では富裕層が乗っているイメージがあるが、アメリカなどでは技術者の派遣、プロ営業マンについたりと、タクシーに近い使われ方がされている。

 

航空産業は川下産業に分類され、周期性、季節性、コロナのような疫病の流行に弱い。

 

航空産業の影響として、インバウンドが成果が上がっている。インバウンドで国内の消費が上がる点で輸出のように考えることができて、規模は4.4兆円、半導体は4.2兆。就航計画を立てるにも継続的な集客が必要なため、周辺行政、観光事業と手を組んでやっていくのが常。

 

LCCの台頭によりレガシーが悪影響を受けているかと思いきや、今まで高いというイメージがあった飛行機の利用のハードルを下げ業界を盛り上げ、結果としてレガシーも恩恵を受けている。

 

新型787型機を運用に用いるZIPAIRが楽しみである。JALの出資であるが、棲み分けがなされているのだろう。

 

航空管制は無線工学の発達によってより進化してきた。

日本の管制の管轄のしくみが変更され、地域別から高度別に変わる。今まで以上にスムーズな交通整理ができ空港のキャパが広がるだろう。

 

航空需要は世界のGDPの成長率を上回り、年間4%で上昇している。20年で2倍のペースである。

 

メーカー側の視点に立つと、人材が国際的に流動的に動くので、日本のような暗示知は通用されないため、細かく標準化する必要がある。日本は個人の技術、1つの分野での活躍は甚だしいが、複合的な技術開発には弱い、大きなものを扱うときに、組織、大規模での対応が必要。壊れない飛行機を作るのではなく、すぐに元通りに直して常に飛び続けることが大事。飛行機はプリンターと同じで、アフターマーケットで稼ぐ。日々の整備に必要な部品で稼ぐ。飛行機はなによりもデータを集めることが大事で、認可を受けて実際に客を乗っけてるときもデータを取り続け改良する。そのためにまずは売れないことにデータは集まらない。

 

飛行機は経済波及効果、技術波及効果がすさまじい。国の機関も協力、産学官連携も各国で行われている。いろんな分野にまたがるから金が動く。航空で使われた技術が日常に落とし込まれる日もくる。GPSなどがそうだ。

 

専門外の分野の知識をかじることは簡単だが体系的に学ぶことは本当に難しい。体系的に学ぶ方法を身に着けることが大事で、航空や宇宙産業でも使える。